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ウクレレの木材と音の特徴

その昔ウクレレの材料といえばハワイアンコアかマホガニーの2択でしたが、 近年では環境要因もあり様々な木材が使われています。
ここではタカハシウクレレでよく使用している主な木材について、その特徴を ご紹介いたします。

なお内容は全て製作者本人の経験に基づく主観であります旨ご理解くださいませ。 (音色を言葉で表現するのは難しいですし、何より感じ方が人それぞれ違いますからね ^^;)

マホガニー

ウクレレ材料・マホガニーの特徴

世界3名木の1つで、とても有名な材。加工しやすく狂いも少ない為、あらゆる木製品に利用されています。 よく聞く名前なので安価材と勘違いされますが、実は大変高級な希少木材です。
音色はキラキラとした繊細で明るいトーン。アタック音はそれほど強く出ないのでコアのウクレレに比べると 柔らかい感じに聞こえますが、 実はかなり明るい音です。
サスティーンも良好で、コア材に比べると音伸びはかなりよいです。
低音域は少し控えめなので、コードストロークでは相対的に中音域が厚く聴こえる傾向があります。
当工房にとっては、何よりネック材としてとても秀逸な木材です。


メイプル(メープル)

ウクレレ材料・メイプルの特徴

タカハシウクレレのトップ材では一番人気のある材です。
メイプルは重たく固いハードと、軽く柔らかいソフトの大きく2種類があり、さらに杢目のあるなしで 呼び方も変わりますし、伐採地によっても名前が変わります。
基本的にはとにかくシャッキリとした明るい音。音の線も太くて、繊細な音とは正反対の元気で明るい音色です。 それでいて倍音も豊富なので、音の輪郭にはいくつものベール感もあり、色気もあります。 サスティーンもかなりあります。

ちなみに杢目(もくめ)模様の派手さは音の良し悪しには関係なく、杢目材よりもプレーン材の方が 一般的には固く均一材であることからアタックやサスティーン面で優位性があります。

当工房では指板材としても人気があります。(音が一層明るい感じになります)

音質が似た感じの材として、シカモア、カエデ(楓)があります。


ウォルナット

ウクレレ材料・ウォルナットの特徴

チーク・マホガニーと並ぶ世界3銘木の1つで、昔から高級家具等で利用されてきた材です。
とても固く耐久性の高い材なので、ウクレレのトップにもサイドにもバックにも適しています。
音色はよい意味で少しとぼけた感じというか、適度に明るく適度に暗く、アタックも強すぎず、 サスティーンはやや控えめで、脱力系というかホンワカしたポロンポロンサウンドが特徴です。
個人的にはソプラノサイズでコロコロ奏でるのが楽しいかも♪

外観は黒木なので経年変化で少しずつ白っぽくなっていきますが、そこがまた趣深く魅力のある材です。


ローズウッド

ウクレレ材料・ローズウッドの特徴

昔から高級木材として活用されてきた材、楽器分野でも指板やブリッジ材として重宝されてきましたが、 最近のあまりの資源枯渇で大手楽器メーカーでさえ代用材を探して使う程の高級希少材となりました。 (ジャカランダに限らず、ローズウッド全体の傾向)

固く耐久性があるので、ウクレレの全ての部分で活用可能な万能材です。
トップに使うと、音の輪郭がカッチリとした端正で落ち着いた音色になります。サスティーンは良好ですが 明るさはありませんので、バンドアンサンブルよりはしっとりとしたソロ弾きが似合います。

サイドバック材として特に秀逸で、明るめのトップ材と組み合わせると低音域がしっかりと出て、 コードを弾いた際の和音バランスが大変良好になります。


アッシュ

ウクレレ材料・アッシュの特徴

54年製ストラトキャスターでお馴染みのライトアッシュ(スワンプアッシュ)。
アッシュには重たいホワイトアッシュと軽いスワンプアッシュがあり、それぞれ目的により使い分けます。
タカハシウクレレではトップ材にはスワンプアッシュを使うことが多いです。
音は軽く明るく、サスティーンはやや短め、アタックは比較的強めに出ます。
軽快なロックサウンド、という印象です。


オバンコル

ウクレレ材料・オバンコルの特徴

アコギ弾きの方には昔からサイドバック材としてお馴染みの材。
ウクレレの材として使いだしたのは、多分ウチが最初じゃないかしら(笑) ウクレレ材料としては あまり聞かれない材です。
固く耐久性があるのでどの部分に使えますが、とにかく曲がってくれないので当工房ではサイドには使いません(^^;

トップ材に使うと、落ちついた感じのジャジーなトーン。ローズほど暗くないので、適度な明るさと色気もあります。
サスティーンも良好。経年変化でどんどん音が明るい方向に変化してくるのも魅力の材です。
色は濃いめの茶色。ローズウッドとマホガニーの中間位の色です。


スプルース

ウクレレ材料・スプルースの特徴

マツ科の木材で日本でいうエゾ松と同じ仲間です。
軽く音をよく振動させることから、トップ材として昔から活躍されてきたエリート材です。
音は繊細で明るくよく響きます(音量が大きく聴こえます)。
メイプルに比べると音の線は細いのですが、それ以上に明るさがある為それを感じさせません。
材そのものに強い個性(音色)がある感じではないので、サイドバック材を含めたウクレレ全体の 音を上手く拡張してくれるスピーカーのようなイメージです。
その為、同じスプルーストップでも、サイドバック材や指板材の違いでかなり音が変わってきます。 バンドアンサンブルからソロ弾きまでなんでも似合う万能材です。

当工房では全てのトップ材のブレーシング材料として、陰でも大活躍してくれています。


シダー

ウクレレ材料・レッドシダーの特徴

杉科の仲間で、上のスプルース同様、昔からギターで大活躍してきたトップ材です。
当工房ではレッドシダーと呼ばれる木材を使っています。スプルースより少し赤っぽい感じの色です。
音響的にはスプルースととても似ていますが、音がよい意味で少し濁った感じがあるので、 その分味わい深いというか、いろいろな倍音成分が複雑に鳴っている感じです。
スプルースを上品で透明な野菜スープに例えるなら、レッドシダーは裏越ししていないジャガイモスープのような そんな感じです(わかるかな ^^;)
音量的にはレッドシダーの方が一回り大きく聴こえます。(当工房ラインナップ材の中で一番の音量)

またとにかく香りがよい材で、ウクレレになってからもホールからよい香りが漂います。


トチ(栃)

ウクレレ材料・トチ(栃)の特徴

国産材です。外観はメイプルやカエデに似た白木ですが、比べるとトチの方がややクリーム色が濃いです。
美しい独特の杢目が出やすい材で、内装材としても活用されています。

ソフトメイプルと同じ柔らかさがあり、かつ曲げてもなかなか折れないしなやかさがあり、それが音の 特徴にも現れています。
メイプル同様に明るく太く伸びやかなサウンドですが、メイプル程のカラっとした明るさはなく、 どこか少しだけジャジーというかアンニュイな雰囲気が漂います。
メイプルのストレートな明るさよりも、少し大人のイメージの、そんな音です。

また触ると肌触りも独特のきめ細かな感じがあり、当工房の塗装の上からでもメイプルと違いがわかります。


マンゴー

ウクレレ材料・マンゴーの特徴

ハワイ産として有名な材ですが、最近ではフィリピン等他で栽培された材の方が多く出回っています。
当工房ではハワイ産に限定して取り扱っている為、在庫がない時の方が多い希少材です。

色は基本は薄いクリーム色ですが、個体差がかなり大きく、茶色っぽい感じの材もあり、 それが野趣溢れる感じで魅力の1つです。

材そのものが固さにかなりバラつきがあるので(同じ材でも場所によってかなりばらつきがある) 基本こんな音~、という説明が難しい材です(ごめんなさい ^^;)
大体の傾向としては、アタック弱めの優しい音、耳に優しいキンキンしない音、という感じでしょうか。。。
高音のヌケも控えめなので、マホガニーのような明るい音のサイドバック材と組み合わせてあげるのがお勧めです。

マンゴー材については「こうした音が欲しいからマンゴー材」ではなく、「マンゴー材を使ったウクレレが欲しい」という 方にお勧めの材です。


ウクレレの材の選び方★★★

ここではウクレレの木材(材料)の選び方についてアドバイスさせていただきます。

まず大前提としてご理解いただきたいのは、ウクレレの音は木材では決まらない、ということです。
木材は大事な要素ではありますが最大の要素ではありません。

ウクレレの音を決定づける一番の要素は「誰が(どのメーカーが)作っているか」です。

同じ食材を使っても料理人によって全く味が異なるように、ウクレレの音は結局は誰がどうやって ウクレレを作っているか、で決まります。(良し悪しではなく、個性という意味です)

そうでなければ、街の楽器店に置いている様々なメーカーのウクレレは、同じ材なら全て 同じ音になるはずです。・・・が、実際は全く違いますよね。

私の感覚では「作り手6割 : 材料4割」とバランスです。

前置きが長くなってしまいました。
やっと本題、その「材料4割」部分だけについてお話ししますね。

一番大きな影響を与えるのはトップ材です。

「材料4割」部分だけを100として捉えると、各部位の影響度合いは、  トップ : 40、サイド : 15、バック : 5、ネック材 : 30、指板材 : 10、 というバランスです。

どうでしょう? 確かにトップ材は重量ですが、それでも全体の中としての影響度は これくらいです。
バック材に至っては材料が音色に与える影響はごく僅か、いうのが私の経験に基づく考え方です。 (ただしバック材は全体強度に影響を与えます)
意外にも指板材の違いは音色に大きな影響を与えます。

ということで、トップ材を何にするのか相当時間を使って悩まれる方もいらっしゃいますが、 そこで全てが決まってしまうわけではありませんので、ある意味気楽に捉えてまいりましょう(^^)
好みの色の感じ、で選んでしまうのも正解の1つです。楽器は見た目が好きになれないと音を好きにはなれない ものですから。その上でお好みの音のイメージを伝えていただければ、 ある程度はコントロールできますよ♪

どの材料であっても、それぞれの作り手の味が、当工房ならウチならではの音色(個性)がありますから、 その部分を信用していただき、安心して材を検討いただければと思います。

以上、皆様の材料選びの参考になりましたら幸いです♪